相続で罰金が発生するケースとは?相続登記の義務化についても解説!

財産を相続する際には、さまざまな手続きが発生します。しかし、正しい手続きを踏まない場合や、そもそも手続きを怠ってしまうと、罰金が科せられるケースもあります。

特に、2024年4月からスタートした「相続登記の義務化」では、期限内に相続登記を行わない場合の罰則が定められています。

もし罰金・罰則が科せられてしまうと、納税額が大幅に増え、「最初から正しい額で納税しておけばよかった」と後悔するかもしれません。

そこで本記事では、相続で罰金が発生するケースや、その対策について詳しく解説します。適切な相続手続きを理解し、罰金を避けるための注意点を確認しましょう。

相続で罰金が発生する3つのケース

相続では、遺産隠しや相続税の申告漏れなど、法律に違反する行為により罰金が科せられることがあります。

以下では、相続において罰金が発生する3つのケースについてご紹介します。

無申告加算税と重加算税

相続税の申告漏れや、相続した遺産の存在を隠す「遺産隠し」は、相続における代表的な違反行為です。相続税は、遺産総額が基礎控除額を超える場合は必ず申告する義務があります。

納税する必要があるにも関わらず、相続税を申告しなかった場合、「無申告加算税」が課せられます。これは、相続税を申告しなかったことに対するペナルティであり、通常は本来の納税額の5~30%が追加で課税されます。

ただし、意図的な申告漏れや財産隠しが発覚した場合は、より重い罰則である「重加算税」が適用され、納税額の35~40%もの追加課税が行われることがあります。これらの罰金は、故意による脱税行為に対して課されるものであり、税務署の厳格な調査によって明らかにされます。

また、さらに悪質なケースでは、刑事罰や罰金が課せられることもあります。

無申告や不正申告は罰金だけでなく、社会的な信用にも影響を与えるため、期限内に正確な申告を行うことが重要です。

相続登記の義務化による罰則

2024年4月から、「相続登記」が義務化され、相続した不動産の登記を3年以上行わないと、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。

義務化以前は、不動産の名義変更などは任意で行われていましたが、登記を放置することで不動産の所有者が不明確になるなどの社会問題が発生したため、義務化が導入される運びとなりました。

また、この制度は過去の相続分も対象となっており、2027年3月末までの猶予期間までに相続登記を行っていない場合は、10万円以下の過料の対象となります。遺産分割が確定していない場合であっても、相続登記は速やかに進める必要があるため、注意が必要です。

その他の罰則(財産分与の違反行為)

財産分与における違反行為が発覚した場合も、罰則が適用される可能性があります。例えば、相続人間で不当に財産隠しを行ったり、十分な協議なく不平等な分配が行われた場合、法的トラブルに発展することがあります。

法的な手続きを踏まず、相続人が独自に財産を隠したり、過少に報告する行為は法律違反であり、罰金・制裁金が科される危険性があることを覚えておきましょう。

相続税の申告義務と罰金について

亡くなった方の財産を相続した場合、「相続税」という税金を払わなければなりません。

相続税の申告には、「被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内」という期限が定められています。この申告期限を過ぎて相続税の申告をした場合、理由によっては「無申告加算税」が課される可能性があります。

無申告加算税は、正確には「罰金」ではありませんが、申告をしなかったペナルティと言えます。無申告加算税は、申告したタイミングによって、ペナルティとなる金額が変わります。例えば、税務調査の事前通知が来る前に申告をすれば、本来納付すべき税額の5%を支払うことになります。

一方、事前通知を受け取ったが、税務調査が行われる前までに申告をすれば、10~15%の加算が必要です。

また、税務調査が行われてから申告する場合は、15~20%の加算がされます。

さらに、期限通りに申告をしても、納期限を過ぎて税金を納付した場合は、追加で「延滞税」がかかってしまいます。延滞税は納期限の翌日から2カ月以内であれば、原則「年7.3%」と定められています。

遺産隠しや評価額の過少申告に対する罰金について

相続税を少なく見積もるため、いわゆる「遺産隠し」を行ったり、相続した財産の評価額の過少申告などを行うと、「過少申告加算税」や「重加算税」がかかることがあります。

特に「重加算税」は、意図的なケースや悪質なケースであると認められた場合にかかるペナルティで、無申告の場合は40%、過少申告の場合も35%の税率が加算されます。

「遺産隠し」や過少申告は、一見発覚しにくいように思えますが、税務署は銀行などの金融機関データなどの調査権限を持ち、不動産などの登記情報も見ることができます。また、税務署は脱税発見に関するノウハウも確立しており、プロの目を欺くのは至難の業です。

そのため遺産隠し、過少申告などの不正行為は、まず税務署に発覚すると考えて間違いないでしょう。

相続手続きで罰金を回避するためにすべきこと

相続手続きを円滑に進め、罰金を回避するためには、正しい知識と適切な対策が必要です。

しかし、相続は煩雑な手続きも多く、意図的ではなくても申告漏れや遅れが生じ、罰金や罰則を課せられる可能性もあります。

以下では、相続手続きにおいて罰金を回避するためのポイントを解説します。

専門家(税理士・弁護士)に相談する

相続手続きでは、税理士や弁護士などの専門家に相談することで、罰金を回避するためのノウハウを得られます。特に、相続税の計算や申告手続きに精通した税理士は、申告漏れや誤った税務申告を防ぐことができるため、「意図としない申告ミス」なども起きにくくなります。

また、弁護士は相続人間のトラブルや財産分与の法的サポートに強みを持つため、遺産分割協議をスムーズに進めたい人には非常におすすめです。

適切な書類管理と相続税申告の徹底

相続に関する書類を適切に管理し、期限内に正確な相続税申告を行えば、罰金を科せられることはまずありません。財産目録や遺産分割協議書、相続税の申告書などの書類は法的にも重要なため、これらをきちんと揃えておきましょう。

また、相続税の申告期限は相続開始後の10か月以内と法律で定められており、遅れや申告漏れがないよう、早めに対応しておくことが大切です。

遺産分割協議の透明性を保つ

遺産分割協議における透明性は、相続手続きにおいて非常に重要です。すべての相続人が協議に参加し、公正かつ納得のいく形で遺産が分割されることで、トラブルや不正行為を防ぐことができます。

特定の相続人が財産を隠したり、適切に情報を共有しないことで、他の相続人との間で争いが生じる可能性もあります。こういったケースでは、法的措置や罰金が発生してしまうことも考えられるため、相続手続きにおいて透明性を保つことは、非常に大切なプロセスと言えるでしょう。

まとめ

相続における罰金は、申告漏れや違法な行為を避け、適切な手続きを行う事で回避できます。

罰金のリスクを低減するためには、専門家への相談や早めの申告手続きを行う事が大切です。また、相続に関わる全ての財産を正確に把握し、全ての情報を相続対象者全員に公開することも、非常に重要なポイントです。

罰金を避け、円滑な相続な手続きを進めるためには、専門家への相談もおすすめです。相続する可能性が浮上した時点で、早めに専門家へ相談し、適切な納税のためのアドバイスを求めることで、法的なトラブルや罰金を避けることができるでしょう。