【徹底解説】韓国の「民団」とはどのような組織?在日韓国人の生活・相続サポートまで全貌紹介

在日韓国人にとって身近な存在である「民団(在日本大韓民国民団)」。

日本での生活支援や文化交流だけでなく、相続・帰化・在外選挙など、法務に関わる支援も行っているのをご存知ですか?

この記事では、民団の歴史・活動内容・北朝鮮系組織との違いに加え、相続手続きにおける民団の役割についても詳しく解説します。

民団とは?基本的な概要と成り立ち

まずは、民団とはそもそもどのような組織なのか。その名称や設立背景、現在の構成など、基本情報から整理していきましょう。

民団の正式名称と略称

民団の正式名称は「在日本大韓民国民団(ざいにっぽんだいかんみんこくみんだん)」です。

英語では “Mindan” と表記され、日本国内では単に「民団」と呼ばれることが一般的です。韓国政府とのつながりを持つ韓国系在日韓国人の代表的な組織です。

設立の経緯と目的

民団は1946年、第二次世界大戦終結後の混乱の中で、在日韓国人が日本での権利を守るために自主的に結成した団体です。

当初の目的は、在日韓国人の法的地位の確立や、民生安定、文化向上、国際親善などの方針を掲げ、活動していました。現在では、主に在日韓国人の生活支援にまつわる施策や、日韓を繋ぐ親善活動を行っています。

韓国建国前の段階から存在していたという点で、歴史的にも重みのある組織です。

現在の組織体制と規模

民団は、東京にある中央本部を中心に、全国47都道府県に支部を持つ広域組織です。

会員数は2021年12月末時点で約30万人規模とされていますが、帰化や高齢化の影響で若年層の減少が課題となっています。

民団の主な役割と活動内容

民団は、単なる在日団体ではなく、実際に在日韓国人の生活のあらゆる場面で活動を展開しています。
このセクションでは、日常生活支援から文化活動、そして相続など法的支援に至るまで、民団が担う多彩な役割を紹介します。

在日韓国人の生活支援と相談業務

ここでは、民団が実際にどのような相談・支援を行っているかを詳しく見ていきます。

特に生活や法務面での具体的なサポート内容を理解することは、民団の実用的な側面を知るうえで重要です。

就労・教育・生活・法務の支援

まずは、在日韓国人が日本で暮らしていくうえで必要な「衣・食・住」+「法的支援」について、民団がどう関わっているかを確認してみましょう。

民団では、就労相談、学校での教育支援、居住問題の相談などに応じており、日常生活のあらゆる不安に対応しています。

また、法務相談会を無料または低額で定期開催しており、弁護士・行政書士との連携があるのも強みの一つです。

韓国籍の維持や更新支援

民団では、パスポート更新、韓国の住民登録との連携など、韓国との国籍関係を維持するための各種手続きをサポートもしています。直接的な手続きは本人が行う必要がありますが、日本にいながらも、韓国政府とのつながりを途絶えさせないための橋渡しが民団の重要な役割です。

文化・教育・言語活動

民団は生活や法律支援だけではなく、文化面でも重要な役割を果たしています。

特に次世代の育成を見据えた教育活動は、組織としてのアイデンティティ維持にも直結しています。

韓国語教室や子ども向け民族教育

民団は、言語を後世に伝えるため、韓国語教室などを通じて、在日コリアンのルーツを学ぶ機会を提供しています。

また、子ども向けには民族学校や文化イベントもあり、言語だけでなく歴史・伝統を守る取り組みを行っています。

相続・帰化・身分関係に関する支援

在日韓国人が亡くなった際の相続手続きにおいて、民団は次のような支援を行っています。

  • 韓国本国との連絡・証明書発行の案内(例:家族関係証明書、基本証明書など)
  • 法務相談会での弁護士・司法書士紹介(相続登記、遺産分割協議など)
  • 翻訳・通訳・公証の手続き支援(専門家の紹介含む)
  • 在外選挙人登録の抹消確認や整理サポート

特に、韓国籍のまま亡くなった被相続人に対する手続きでは、「韓国から必要書類を取り寄せる」「書類の記載が韓国語で読めない」などの問題が発生しがちです。

そうした場面で、民団の地域支部が丁寧に対応してくれるケースも多くあります。

民団と朝鮮総連の違いとは?

「民団」と並んでよく話題に上がるのが「朝鮮総連」です。

このセクションでは、両組織の違いを政治的背景・活動方針・法務対応の視点から整理していきます。

それぞれの政治的背景と出自

民団と朝鮮総連は、似ているようでその出自や政治的な背景は全く異なります。

まずは両団体のルーツについて確認しましょう。

民団の政治的背景

民団は、もともと1945年に結成された在日本朝鮮人連盟(朝連)がルーツです。しかし、共産主義色を強める朝連に対して、反発したグループが1946年に「在日本朝鮮居留民団」を結成しました。

韓国(大韓民国)を支持し、民主主義・資本主義体制と親和性があるのが特徴です。

朝鮮総連の政治的背景

朝鮮総連は、民団同様に在日本朝鮮人連盟(朝連)をルーツに持ち、1955年、北朝鮮を支持するグループが「朝鮮総連」を立ち上げました。

社会主義体制との結びつきが強く、北朝鮮を支持しているのが朝鮮総連の特徴です。

この政治的立場の違いが、活動方針や組織運営にも影響を及ぼしています。

相続・戸籍支援におけるスタンスの違い

最後に、相続や身分証明といった実務支援の観点からも比較します。

民団は、韓国政府より公認団体として認められているため、相続関連の証明書取得や登記支援の案内が可能です。

一方、総連は北朝鮮との公式なルートが存在しないため、戸籍確認や相続関連書類の取得は極めて難しいとされています。

民団に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、民団に関する基本的な疑問の中でも、相続や実務に関するものを中心に回答していきます。

Q1. 民団で相続相談は無料でできるの?

はい、多くの民団支部では定期的に無料の法律相談会を開催しています。

相続に関する初歩的な相談や手続きの流れについて、弁護士がアドバイスしてくれるケースもあります。

Q2. 相続の翻訳や韓国書類の取り寄せも頼めるの?

翻訳・取得を民団が直接代行するわけではありませんが、必要な手続きの案内や専門家の紹介は対応してくれます。

また、書類の取得申請先(韓国の出入国管理事務所など)への照会方法も教えてくれます。

Q3. 民団に加入していない人も相談できる?

はい、原則として在日韓国人であれば誰でも相談できます。

ただし、支援の内容や利用可能なサービスには差があるため、支部に事前確認することをおすすめします。

まとめ:韓国の民団は在日韓国人の法務支援の拠点でもある

民団は、在日韓国人にとって生活・文化・法務を総合的に支える存在です。

特に相続や帰化、在外手続きといった法的なテーマに関しても、相談できる「安心の場」として機能しています。

今後は高齢化の進行とともに、相続に関する支援ニーズがさらに高まっていくことでしょう。

「誰に聞けばいいのかわからない」と迷ったときには、最寄りの民団支部に一度問い合わせてみると良いかもしれません。

ゼヒトモ内でのプロフィール: 司法書士法人アレスコ事務所ゼヒトモの司法書士サービス仕事をお願いしたい依頼者と様々な「プロ」をつなぐサービス