【遺産相続と年収】基礎知識と影響を徹底解説

遺産相続は、人生で数回しか訪れない重要なイベントです。「相続税はどのくらいかかるの?」「相続後に年収や税金にどう影響する?」といった疑問を抱く方も少なくありません。

本記事では、遺産相続が年収に与える具体的な影響や、知っておきたい基本ルールについて詳しく解説します。遺産相続を控えている方はもちろん、将来に備えたい方も、ぜひ参考にしてみてください。

遺産相続と年収の関係とは?

遺産相続では、被相続人の預貯金や株式、不動産など、さまざまなものを引き継ぎます。

まず、遺産相続と年収の基本的な関係について、理解を深めていきましょう。

原則、遺産相続は年収にカウントされない

基本的に、遺産相続そのものは「年収」としてカウントされるわけではありません。相続税は、相続財産そのものに課される税金であり、所得税は個人が得た収入に対して課される税金です。

しかし、相続した財産がその後に収入を生む場合、それは年収に影響を及ぼすことがあります。

住民税や保険料への影響

相続でまとまった金額を受け取った場合、税金が増えるのではと不安になる方も少なくありません。しかし、遺産相続によって得た財産は「収入」や「所得」には含まれないため、所得税や住民税が増える心配はありません。

さらに、国民健康保険料も所得を基準に計算されるため、相続財産が原因で保険料が上がる心配もありません。

相続後は、まず相続税の手続きを正しく進めることが大切です。

遺産相続が年収に影響するケース

遺産相続時には相続税の手続きが必要ですが、相続するものによっては追加で年収として換算され、手続きが必要になるものもあります。

以下では、相続財産が年収としてカウントされるケースをご紹介します。

収益物件を相続した場合

マンションやアパートといった収益物件を相続した場合、相続後に家賃収入が発生します。この収入は不動産所得として申告する必要があり、年収に加算されるため、所得税率が上がる可能性があります。

一方、土地や不動産そのものに関しては、所得税ではなく相続税としての課税対象となります。

運用資産を相続した場合

株式や投資信託を相続した場合、それらから得られる配当や売却益は年収に加算され、課税対象になります。特に高額な運用資産を相続した場合は、計画的に運用方法を考えることが大切です。

会社や事業などを引き継いだ場合

相続の際には現金や不動産だけでなく、自営業や法人経営をしている親から、事業を引き継ぐケースも考えられます。その場合は事業収入がそのまま自身の所得に反映され、年収としてカウントされます。

引き継ぐ事業がある場合は、経営を継続するかの判断や、税務管理をきちんと行う必要があるでしょう。

相続財産を売却し、利益が出た場合

現金を相続した際には、相続税のみが発生し、年収には影響しません。

しかし、相続財産を売却して現金化し、その際に利益が出た場合は、年収としてカウントされ、所得税が加算されることがあります。

準確定申告が必要な場合

被相続人が亡くなるまでの間に得た収入がある場合、相続人が被相続人の代わりに確定申告を行う必要があります。この手続きを「準確定申告」と言います。

準確定申告が必要なケースは以下の通りです。

自営業などで収入があった場合

不動産収入を得ていたり、店舗運営などで収入を得ている場合は、準確定申告が必要です。

例えば、6月に被相続人が亡くなった場合、1月から6月までに得た収入分を、相続人が代わりに申告します。

2カ所以上から給与所得があった場合

被相続人が、アルバイトを掛け持ちするなどして給与が2カ所以上から支払われていた場合も、準確定申告が必要です。

給与や退職金を除く収入が20万円以上あった場合

例えば副業などで、給与・退職金ではない収入が年間20万円以上あった場合、こちらも確定申告の必要があります。

亡くなった方の収入の状況などに応じて申告が必要なため、慎重に確認を進めることが大切です。

年間2000万円以上の給与所得があった場合

亡くなった年の給与所得が2000万円を超えていた場合も、準確定申告が必要です。

企業勤めの場合は通常、会社で年末調整が行われます。しかし、2000万円を超える場合は対象外となり、確定申告をする必要があるため注意しましょう。

申告期限について

準確定申告は、相続人となったことを知ってから、4カ月以内に完了させる必要があります。

6月1日に被相続人が亡くなり、相続人になった場合は、10月1日が申告の締め切りとなります。

この締め切りを過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性がありますので、必ず確認するようにしましょう。

被相続人が複数いる場合

被相続人が一人ではなく、複数人で分割して相続をした場合、準確定申告は複数名の連署で作成し、提出することも可能です。

そのため、あらかじめ各人の署名などを行うための時間も用意し、余裕をもって提出することがポイントとなります。

遺産相続と年収に関するよくある質問(Q&A)

遺産相続や、相続後の年収について、よくある質問を以下にまとめました。

Q1. 遺産相続で受け取った収益物件は年収に含まれるの?

相続財産そのものは年収には含まれませんが、収益物件から得られる家賃収入は「不動産所得」として課税対象となります。この不動産所得は年収に加算されるため、所得税や住民税が増える可能性があります。

例として、相続後に修繕費や管理費などの必要経費を差し引いても収益が残る場合、その金額が課税の対象です。正確な申告を行うためには、家賃収入と経費をきちんと記録することが重要です。

Q2. 遺産を受け取ると年収に影響して税金が上がる?

遺産自体は年収には影響しません。しかし、相続した財産を活用して得た利益(例えば、株式の配当収入や不動産の家賃収入)は課税対象です。その結果、所得税率や住民税率が上昇することがあります。

また、こうした利益が高額になると国民健康保険料が増加する場合もあるため、事前に税金や保険料の計算を行い、将来的な負担を予測しておくことが大切です。

Q3. 相続税が免除される基準や条件はあるの?

相続税には「基礎控除額」が設けられており、この金額を下回る相続財産には相続税が課されません。

基礎控除額の計算式は以下の通りです。

  • 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

例えば、相続人が2人の場合の基礎控除額は「3,000万円 + (600万円×2) = 4,200万円」です。この金額以内であれば、相続税は発生しません。

まとめ

遺産相続は一生の中でも大きなライフイベントのひとつです。特に年収への影響や税金の負担については、不安を抱く方が多いかもしれません。しかし、基本的なルールを理解し、計画的に対応することで、大きなトラブルや無駄な税負担を避けることができます。

相続財産そのものは年収には含まれないため、所得税や住民税が増える心配はありません。ただし、相続した財産が収益を生む場合には、その収益が所得税の課税対象となることを忘れてはいけません。また、収益物件や投資資産、不動産など、財産の種類によって課税対象や管理方法が異なるため、正確な知識と準備が必要です。

本記事で紹介した基本情報や手続きのポイントを参考に、ぜひ前向きに相続手続きを進めてください。 もし急な遺産相続が発生した場合は、専門家のアドバイスを受けるのもおすすめです。特に準確定申告の手続きが必要な場合は、4カ月という期限があるため、早い段階で相談しましょう。